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価値変容ダイアグラム共創

価値変容ダイアグラム共創

10年先の「こころ」を遠望する

「素材も設備も一流なのに、料理人が少ない」。 西武グループのイノベーションを担う「西武ラボ」の田中健司さんは、自社の状況をそう表現しました。豊富な資産や多様な事業を有しながらも、厳しい経営環境下でいつしか「数字」ばかりを追うようになり、かつての強みであった「人の心を動かす独自の視点」が希薄になっているのではないか。

最初に行ったのは、事業効率の議論を一旦横に置き、2035年の社会における「こころの変化」を遠望することでした。足元のトレンドに踊らされず、その背景にある「時代の気分の胎動」を10の物語として描く。この「問いを遠くに置く」アプローチが、巨大な組織が未来を語り出すための刺激材となりました。

ワークセッションを通じ、世の中の変化の兆しを対話する

初期の「未来モメンタム仮説」を土台に、西武ラボを中心とした多様なメンバーとの共創ワークセッションを実施。 単なる未来予測ではなく、実際に現場を支えるメンバーたちが日々感じている「世の中の不寛容さ」や「数値化できない価値への渇望」といった微かな違和感を丁寧にすくい上げる。対話を通じて、「西武はこれから誰に、どのようなほほえみを届けるべきか」という問いを自分事化していくプロセス。それはグループ各社の視点を「生活者起点」という一つの大きな流れに合流させる作業でもありました。

価値変容ダイアグラム共創

ワークショップ内のセッションの資料

「価値変容ダイヤグラム」という一本の補助線

混迷する未来に対し、私たちが提示した補助線が「価値変容ダイヤグラム」です。 生活者のこころが、AからBへとどう移り変わっていくのか。例えば「わかりすぎる時代」から「わからないものの価値」へ。「時間の消費」から「時揃え」へ。このダイヤグラムは、西武グループが社会と結び直されるための「新しい関係性の地図」となりました。

「SWING NOTE 2025」として編纂されたこの思考の枠組みは、単なる冊子に留まらず、西武グループの長期戦略にも採用されるなど、経営と現場を繋ぐ共通言語として機能し始めました。

価値変容ダイアグラム共創

「SWING NOTE 2025」

価値変容ダイアグラム共創

実際の「価値変容ダイアグラム」の一例

変化を捉え、自ら歩き続けるための「拠り所」

田中さんは「10年先の『こころの変化』に着目したSWING NOTEは、大きく変化した生活者の価値変容を考察する上でのヒントになった」と振り返ります。

事実、ダイヤグラムから抽出された「魅力的わざわざ」「時揃え」といったキーワードは、新会社「ステップアウト」によるアウトドア事業の創出など、具体的な新事業の企画立案における重要な判断基準として活用されました。組織の隅々に、未来を創発するための「拠り所」を実装する。不確実な時代において、自分たちがどこへ向かうべきかという「こころの物差し」を共有することこそが、私たちの目指した伴走の成果です。

※本件は吉田・諸江が電通在籍中より手がけている事案になります。

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